【完全ガイド】商品コンセプト企画の進め方|消費者に選ばれる商品を作るためのフレームワークを具体例付きで解説

新しい飲料商品を開発する際、「市場に出しても売れるのか?」「若者にどのような商品が刺さるのかさっぱりわからない」などと悩むことは多いですよね。
市場にはすでに数多くの商品があり、単に「おいしい」「健康的」といった特徴だけでは埋もれてしまう時代です。

では、どうすれば消費者に選ばれる商品を作ることができるのでしょうか?
そこで重要になるのが 「誰に、どんな価値を、どのように提供するのか?」を明確にする商品コンセプトの設計 です。コンセプトをしっかり設計することで、消費者に選ばれる理由が明確になり、開発の方向性がブレなくなります。

一方で「じゃあ、商品コンセプトをどうやって決めればいいのか?」「良いコンセプトが全然思いつかない」と悩む方も多いのではないでしょうか?
本記事では、飲料商品開発のプロの視点から、売れる商品コンセプトを作るためのフレームワークを解説します。

この記事でわかること
  • 商品コンセプトとは何か?
  • ターゲット設定の方法とインサイトの見つけ方
  • 消費者に刺さる商品コンセプトを設計するためのステップ
  • ターゲットから提供価値まで一貫したコンセプトを設計するためのポイント

戦略的な商品開発を進めたい方・消費者に選ばれる商品を作りたい方は、ぜひ最後までお読みください。

目次

商品コンセプトとは?基本の考え方と重要性

商品コンセプトとは、「何のために・誰に・どのような価値を提供するのか」を明確にしたものです。
そもそもなぜ商品コンセプトを決める必要があるのか?そして、さらに具体的には何を決めていけばいいのか?について、ご説明します。

なぜ、商品コンセプトを決める必要があるのか?

商品開発において「とりあえず作ってみる」という発想では、市場で成功することは難しいでしょう。なぜなら、消費者のニーズとズレた商品は、どれだけ品質が高くても売れないからです。 そこで重要になるのが「商品コンセプト」の明確化です。
商品コンセプトを決めることには、以下の2つのメリットがあります。

① 消費者に「選ばれる理由」を作れる

市場にはすでに多くの商品が存在しています。消費者が新しい商品を手に取るには、「この商品は自分に必要だ」と直感的に思える理由が必要です。
例えば、「夜に飲めるカフェインレスのスパークリングドリンク」というコンセプトが明確であれば、「夜にリフレッシュしたいけど、カフェインは控えたい」 というニーズを持つ消費者にすぐに響きます。
逆に、コンセプトが曖昧だと、消費者はその商品を手に取る理由を見つけられず、スルーしてしまうでしょう。

② 商品開発のブレを防げる

さらに、コンセプトが明確になっていないと、開発の途中で 「どんな商品を作るべきなのか?」 という方向性がブレやすくなるという問題もあります。
例えば、

  • 「リフレッシュ系の炭酸飲料を作りたい」と思っていたが、途中で「せっかくだから機能性成分も入れよう」となり、結局どっちつかずの中途半端な商品になる
  • 「大人向けの上質なドリンク」を作る予定だったのに、開発が進むうちに「価格を抑えるために原料を変えよう」となり、最初に狙っていた高級路線から外れてしまう

などなど。こうしたブレを防ぐためにも、最初に「この商品は◯◯なターゲットに、◯◯な価値を提供するもの」と定義しておくことが重要なのです。

商品コンセプトが決まった状態とは?決定すべきなのは3要素

とはいえ「商品コンセプトを決めろ」と言われても、何をどこまで決めれば『できた』と言えるのか?は意外と分かりづらいですよね。
「ターゲットを決める?」「売り文句を考える?」「商品スペックを詰める?」
…やることは多そうですが、何が “コンセプト” に該当するのか、ぼんやりしてしまう人も多いはず。

しかし、商品コンセプトは明確に定義できますし、「これを決めれば商品コンセプトは完成」と言える理想状態も確かに存在します。むしろ、そのようなゴール状態を明確にしないままになんとなく商品コンセプトを決めてしまったことで、うまく商品企画が進まなかったり発売後に消費者に刺さらず終わってしまったりするケースが少なくないんです。

コンセプトの作成に入る前に、コンセプト策定のゴール状態を明確にしましょう。
商品コンセプトが完成したと言える状態とは、以下の3点が明確になっていることです。

  • WHY|なぜこの商品を企画するのか?
  • WHO誰のための商品か?
  • WHATどのような価値を提供するのか?

それぞれを決めていくプロセスについて、この記事では具体例を用いながら説明していきます。

【WHY】商品企画の目的を明確にする方法

まず、「なぜこの商品を企画するのか?」 をはっきりさせましょう。
ここを明確にすることで、企画の軸がブレにくくなる上、商品開発の判断基準ができることで、社内での説明・合意形成がスムーズになります。
商品企画の目的を明確にするためには、以下の2つの視点から整理するといいでしょう。

  • この商品が目指す世界観・ビジョン(商品を通じてどんな価値を生み出すのか?)
    例:「忙しい現代人が、仕事終わりに気軽にリフレッシュできる習慣を作る」など
  • この商品が全社の商品ポートフォリオの中で果たす役割(企業全体としての狙いは?)
    例:「自社のノンアルブランドを強化し、ヘルシー志向の消費者層を獲得する」「若年層の顧客を獲得する」など

それぞれを明確にさせるプロセスについて具体的に説明します。

また、これらは最初の時点で両方が明確になっている必要はありません。しかし、すでに確定事項があるのであれば整理しておくと目的からずれない商品開発を行うことができます。

商品が目指す世界観・ビジョン

「この商品が世の中に出ることで、どんな変化を生み出したいのか?」
この視点を明確にすると、消費者や市場に向けたメッセージが統一され、ストーリー性のある商品が作ることができます。

一方で、すでに多数の商品ポートフォリオを有している飲料メーカーなどの企業では、このようなビジョンから商品開発を始めないことも多いでしょう。
その場合は最初の段階で無理に決めてしまう必要はありません。ターゲットや提供価値が確定した後に、さかのぼって商品が目指すビジョンを決めましょう。

考えるべき問い
  • この商品を通じて、人々の生活にどんな変化をもたらしたいのか?
  • この商品が解決する社会的な課題は何か?
アウトプットイメージ

ノンアル飲料→「お酒を飲まなくても、楽しくリラックスできる文化を作る」
機能性ドリンク→「忙しい現代人が、無理なく健康を維持できる社会を実現する」
プレミアムコーヒー→「日常の中に、特別なひとときを生み出すコーヒー体験を提供する」

プロダクトポートフォリオの中で果たす役割

商品企画の目的を明確化するフェーズでは単なる理想論だけでなく、企業としての戦略や既存ブランドとの整合性も考える必要があります。
そのため、「この商品は会社・ブランドにとってどんな位置づけなのか?」 を整理すべきでしょう。

考えるべき問い
  • 既存の商品とどう差別化するのか?
  • この商品を展開することで、企業にどんなメリットがあるのか?
    新規顧客の獲得や新規市場の開拓?既存顧客のリピート率向上?ブランドイメージの向上?競争力の強化?
アウトプットイメージ
  • A社(炭酸飲料メーカー):ヘルシー志向のトレンドに対応し、低糖・機能性の炭酸飲料を投入する
  • B社(カフェチェーン):自宅でもカフェ体験ができる「プレミアムボトルコーヒー」を開発し、新たな収益源を作る
  • C社(ノンアル専門ブランド):飲みごたえのあるノンアル飲料を開発し、「ただの代替品」ではなく「選ばれるノンアル」を目指す

【WHO】ターゲットが抱える課題を明確にする方法

次に、「この商品は誰のどんな課題を解決するのか?」 を明確にしましょう。
なぜなら、「良い商品を作りさえすれば必ず売れる」というわけではないからです。「誰のための商品なのか?」が明確でないと、消費者の心に響かず選ばれません。

加えて、ターゲットを決めることは、単に年齢や性別(=デモグラフィック)を設定することではありません。

  • 「この商品を手に取る人は、どんな悩みを抱えているのか?」
  • 「どんな状況で、この商品を必要とするのか?」

といったターゲット個人の心理的要素(=サイコグラフィック)を深掘りすることで、ターゲットの 「本音」 に寄り添った商品企画ができます。特に、飲料やファッションといった嗜好品の商品企画においては特に心理的要素を重視する必要があります。

この段階のゴール状態は以下が明確になっていることです。

最終アウトプット
  • ターゲットの明確化
  • ターゲットのニーズ・インサイト
    • 達成したいこと(Job)
    • 達成する上で感じている不満や課題Pains
    • 得られると嬉しいメリットGains
    • 購買行動の根本にある動機や欲求インサイト
  • 市場規模の算出


これから説明する3つのステップで整理すると効果的です。一緒に考えていきましょう。

ターゲットの基本情報を整理する

まずは ターゲットをどのように定義するのか? をざっくりと定義しましょう。
この時点で具体的に決めすぎる必要はありません。このあと行うユーザーインタビューの候補者をリストアップすることができる程度の情報があれば十分です。
例えば、ヘルシー志向のトレンドに対応し、低糖・機能性の炭酸飲料を投入したいと考えているA社(炭酸飲料メーカー)を例に考えると、以下のようなイメージです。

アウトプットイメージ
  • ターゲットの年齢層・性別・ライフスタイル
    例:「20代女性・オフィスワーカー・健康志向」
  • 購買行動の特徴(どこで、どんなタイミングで商品を買うか)
    例:「コンビニ・ECで気軽に買えるものを好む」
  • 現在どんな商品を選んでいるか?(競合商品のユーザー像)
    例:「お茶、炭酸水、ノンアル飲料などを代替として選んでいる」

これくらいの情報があれば、「20代女性」「お茶や炭酸水を高頻度で購入している人」「健康志向な人」といった情報でインタビュー対象者をリストアップできそうですよね。

ターゲットのニーズ・インサイトを深掘りする

ターゲットを決めたら、次に 「その人がどのようなニーズや欲求を抱えているのか?」 を深掘りします。
ニーズといっても漠然としていて、どのようなことについて言語化すればいいのかよくわかりませんよね。

そんなときは、以下の「ターゲットが達成したいこと / 感じている不満や課題 / 得られると嬉しいメリット / インサイト」 の4つの視点それぞれから考えると具体化することができます。

ターゲットのニーズ・インサイトを考える4つの視点とアウトプット例
  • 達成したいこと(Job)
    • ターゲットはこの商品を通して何を達成したいか?
    • 例:「カフェインを控えつつ、スッキリとした飲み物を楽しみたい」
  • 達成する上で感じている不満や課題Pains
    • その Job を達成する上での障壁や不満は?
    • 例:「お茶や水では物足りないし、ジュースだと甘すぎる」
  • 得られると嬉しいメリットGains
    • どんなメリットがあると嬉しいか?
    • 例:「程よい爽快感があって、罪悪感なく飲める」
  • 購買行動の根本にある動機や欲求インサイト
    • ターゲットが自覚していないが、購買の根本にある動機は?
    • 例:「仕事終わりに ‘自分だけの切り替えスイッチ’ がほしい」

ニーズやインサイトを明らかにするためのユーザーインタビュー

ターゲットのニーズを正しく捉えるためには、デプスインタビューが欠かせません。
先ほど説明した最終アウトプットを出すために、インタビューを何度も行いながら、

  • インタビューで探索的に情報収集し、得た情報をもとにニーズ仮説を立てる(先述の4つの視点から)
  • その仮説が正しいかどうか、インタビューを通して検証する

の2つを何度も繰り返します。

探索を行うインタビュー検証を行うインタビュー
目的「どんなニーズがありそうか?」を把握する「ターゲットのニーズやインサイトの解釈が正しいか?」を検証
対象者比較的幅広い層(潜在的なターゲット候補)仮説ターゲットに該当する人
質問例「普段どんな飲み物を選ぶ?」「どんなシーンで飲む?」など「こういう悩みを感じることはある?」など

具体的にどのような流れでニーズを発見すればいいのか?についてはこちらの記事で解説しています。

また、効果的なデプスインタビューを行うために必要な準備や意識すべきポイントについてもこちらの記事で解説しています。

【WHAT】提供価値を設計する方法

ターゲットが明確になったら、次に考えるべきは 「そのターゲットに対して、どのような価値を提供するのか?」 です。
ここでの「価値」とは、単なる商品スペックではなく、ターゲットのニーズを満たすための機能的価値・情緒的価値です。これらを具体的なフレーバーやパッケージデザインを検討する前に整理することで、開発の軸がブレることを防ぐことができます。

この段階のゴール状態は以下が明確になっていることです。

最終アウトプット
  • ユーズシーンの定義
    • 例:「仕事終わり・お風呂上がり・リラックスタイム」
  • 機能的価値の整理
    • 例:「カフェインゼロ、甘さ控えめ、炭酸の爽快感」
  • 情緒的価値の整理
    • 例:「仕事スイッチをオフにする、飲むことで ‘ととのう’ 」
  • 競合との差別化要素の整理

それぞれについて説明していきます。

ユーズシーンの定義

「ターゲットは、この商品をどんなシーンで使うのか?」 を明確にしましょう。
特に飲料カテゴリーでは、その時の気分やシチュエーションに応じて選ばれることが多いため、ユーズシーンの定義が重要になります。「どんな瞬間にこの商品を手に取るのか?」 まで考え抜くことで、消費者に深く刺さるコンセプトが作ることが重要です。

アウトプットイメージ例
  • どんな時間帯に飲むのか?
    • 例:「仕事終わり」「朝のリフレッシュタイム」
  • どんな気分のときに飲むのか?
    • 例:「スッキリしたい」「リラックスしたい」
  • どんな場所で飲むのか?
    • 例:「オフィス」「自宅」「カフェ」

例えば、株式会社SEAMでは、「シーンペアリング」 の考え方を活用し、飲用シーン×気分×商品特性 を掛け合わせて最適なペアリングを設計しています。
単に「朝に飲む飲料」ではなく、「朝に目覚めのスイッチを入れたいときに飲む強炭酸ドリンク」 のように、より具体的なシーンと気持ちを組み合わせることで、ターゲットの心に響く商品を作ることができます。

提供価値の整理

「この商品は、ターゲットの課題をどのような商品設計で解決するのか?」 を定義しましょう。
提供価値には大きく分けて情緒的価値と機能的価値があります。

機能的価値:「この商品は何ができるのか?」を示す、具体的な機能や性能の価値。

科学的・論理的に説明することができる要素です。
飲料商品では、成分や味、炭酸の強さ、カフェインの有無、糖質オフなどが挙げられます。

ターゲットが抱えるニーズ・課題解決する機能的価値
「夜に飲めるけど、満足感のある飲み物が少ない」カフェインゼロ & 強炭酸
「お酒の代わりになる飲みごたえがほしい」甘さ控えめ & ほのかな苦み
「健康を意識したいけど、ジュースは糖分が気になる」低糖質・ナチュラル甘味料
「リフレッシュしたいけど、カフェインは控えたい」ハーブエキス配合でスッキリ感

このように、前のパートで整理したターゲットが抱えるニーズ・課題から、それを解決する機能的価値を紐付けていきましょう。

情緒的価値:「この商品を使うことで、どんな気持ちになれるのか?」を示す感情的な価値。

体験や気分に影響を与える要素です。
飲料商品では、飲むことで得られる安心感やリラックス感、楽しさ、自己表現などが挙げられます。

ターゲットが抱えるニーズ・課題解決する情緒的価値
「仕事終わりに、リラックスできる時間が欲しい」“一日のスイッチをオフにする、夜専用のドリンク”
「ノンアルを選ぶと、ちょっと味気ないと感じる」“お酒のように楽しめる洗練された高級感のあるドリンク体験”
「健康的な飲み物だと、味気ないイメージがある」“おしゃれなライフスタイルを演出するヘルシードリンク”


こちらも機能的価値と同様に、前のパートで整理したターゲットが抱えるニーズ・課題から、それを解決する情緒的価値を紐付けていきましょう。

また、機能的価値と情緒的価値の違いや情緒的価値の設計方法については以下の記事でも詳しく解説していますので、こちらをご覧ください。

まとめ:戦略的なコンセプト設計で、競争力のある飲料商品を生み出そう

飲料商品開発において、成功の鍵となるのは「何のために(WHY)・誰に(WHO)・どのような価値(WHAT)を提供するのか」 を明確にすることです。
本記事では、商品コンセプトの定義と、その後の具体的な展開方法について解説しました。

コンセプトが明確になることで得られるメリット
  • 消費者にとって「選ぶ理由」が明確になる
  • 開発・マーケティングの軸がブレず、一貫した商品設計が可能になる
  • 競合との差別化ができ、ブランドの独自性を確立できる
コンセプト設計の流れ
  • 商品開発の目的を明確化
  • ターゲットのニーズやインサイトを定義
  • 提供価値を整理し、競争優位性を確立

このプロセスをしっかり踏むことで、市場にフィットし、消費者に響く飲料商品を生み出すことができます!


また、株式会社SEAMでは、自社の20〜30代向け低アルコールカクテル商品開発で培った実践的なノウハウをもとに、飲料商品コンセプト設計支援サービスを提供しています。
また、コンセプト設計だけでなく、開発・クリエイティブ制作・プロモーションまで伴走することも可能です。

  • 「どんな商品コンセプトにすべきかわからない」
  • 「ターゲットのインサイトを深掘りし、消費者に響く商品を作りたい」
  • 「開発・クリエイティブ・プロモーションまで一貫してサポートしてほしい」

こうした課題でお困りの方は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。

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