シーンペアリングとは?なぜ飲料開発において重要か?共感を促し情緒的価値を生む商品設計手法を解説

「ターゲットの心に響く飲料商品を企画したいが、なかなか差別化できない…」と悩むことはありませんか?
特に、価格競争に依存せずに選ばれる商品を生み出すためには、単なる味やパッケージの工夫だけでは不十分です。
そこで注目したいのが、SEAMが提唱する「シーンペアリング」という開発手法です。
シーンペアリングは、「いつ・どこで・誰と・何をしているか」といったシーンを細かく設計し、そのシーンに最適な味やフレーバーを開発することで、消費者の記憶に残る体験型の商品を生み出すアプローチとなっています。
本記事では、飲料商品企画担当者向けに、シーンペアリングの概念や重要性、具体的な設計プロセス、代表的な事例について解説します。
- シーンペアリングとは?
- なぜシーンペアリングが飲料商品企画に必要なのか
- シーンペアリングの設計プロセス
- 成功事例に学ぶシーンペアリングの実践方法
- シーンペアリングが創る新しい飲酒文化
「競合と差別化した商品を開発したいのに差別化の仕方がわからない方」「情緒的価値を軸にした飲料商品を開発したい方」「消費者インサイトを深掘りした体験型商品企画に取り組みたい方」は、ぜひ最後までご覧ください。
シーンペアリングとは?
シーンペアリングは、飲料商品に情緒的価値を生むための独自の手法です。
本メディアを運営する株式会社SEAMが提唱しています。
お酒をただ消費するのではなく、特定のユーズシーンにおいてどのように体験するかに焦点を当てています。
具体的には、飲用のシーンを「いつ」「どこで」「誰と」「何をしているか」「どんな気持ちであるか」など、詳細に設定。そこから、そのシーンにぴったり合う味わいやフレーバーを開発し、飲用体験を最大限に引き上げるのがポイントです。
従来、多くのお酒開発は味や原材料に注力してきましたが、シーンペアリングでは「体験」を重視します。
これは、単にシーンを提案するだけではなく、その時々の感情や雰囲気まで味わいで表現しようとする試みです。
その結果、消費者に対して情緒的価値を届けられ、価格競争に巻き込まれない「心に残る価値」を提供できるようになります。こうした手法により、お酒は単なる商品ではなく、記憶と感情をともに紡ぎ出す特別な体験として設計されるのです。
なぜシーンペアリングは重要なのか?
シーンペアリングの重要性は、多様なユーズシーンにおいて消費者に最適な体験を提供できる点にあります。
お酒を楽しむ場面では、消費者は商品に対して機能的な価値よりも情緒的な価値を求めることが多いため、特定の状況や場面に最適化されたお酒を開発できれば、消費者の期待を超える特別な体験を実現できるのです。
例えば、特定のシーンに合わせて開発されたお酒なら、その時その場所での体験をより深く、鮮明に印象付けることができます。単なる飲酒行為が、情緒的価値をもった思い出や記憶になり得るのです。また、消費者がまだ気づいていない潜在的ニーズを引き出し、新しい発見をもたらすことも、シーンペアリングの大きな役割となっています。
お酒と体験の深い関係
お酒の価値は味だけで決まるわけではありません。お酒がどのような体験と結びついているかも大きく影響します。実際、同じワインでも夜景の美しいバーで飲む一杯と、自宅でリラックスしながら飲む一杯とでは、味や印象がまるで違うはずです。
これは、誰と一緒にいるか、どんな状況で飲むかといった「シーン」が、お酒の価値を左右しているからにほかなりません。
さらに、お酒はしばしば思い出と直結します。飲んだ瞬間の空気感や会話、感情が心に刻まれ、後から思い返して「楽しかった」と思える体験へと昇華されるのです。こうした理由から、お酒を五感や感情とともに楽しむために、あらかじめシーン設計が求められます。お酒と体験の深い関係を最大化するには、あらゆるシーンを設定したうえで、その設計に基づいてお酒を選ぶ・開発することが欠かせないのです。
情緒的価値を生み出す上でなぜシーンペアリングは優れているか
シーンペアリングが卓越しているのは、「飲む瞬間そのものの価値」をデザインできるからです。他の方法が物理的な製品要素(味・パッケージなど)に焦点を当てるのに対し、シーンペアリングは「体験の全体像」を重視します。そのため、ユーザーの感情や気持ちを包括的にデザインし、深い満足感を提供できるわけです。
また、シーンペアリングは個人のライフスタイルや感情に柔軟に寄り添える点も大きな特徴です。
- 「華金にパーッと飲む」よりも、「心を整える夜のベランダタイム」
- 「海辺で朝日を眺めながらリフレッシュする朝」など、ユーザーの気分に合わせた細やかなシーンを提案できます。
さらに、飲むシーンを選ぶ過程も楽しめるのが魅力。「今日の気分はさっぱりしたクラフトビールかな?それともワインでゆっくりした時間を過ごしたいかな?」と考えながら選ぶこと自体が購買体験を豊かにし、結果として強い情緒的価値をユーザーにもたらします。
自社事例|低アルコールカクテルkoyoiの場合
以上のように飲料というプロダクトの特性上、「いつ・どこで・どんな気分で飲むか」といった“時間”の演出は、体験の質を大きく左右します。だからこそ、SEAMでは、ユーザー一人ひとりのリアルな声を起点とした「n=1」のインサイトにこだわり、商品開発を行ってきました。
たとえば、自社で展開する低アルコールカクテルブランド「koyoi」では、これまでに15種類以上の商品を開発していますが、そのすべてが“n=1の声”から生まれたものです。初期の企画段階では、約300名のユーザーに対して「どんなシーンで飲みたいか?」を詳しくヒアリングし、それぞれの回答から印象的なエピソードや感情を丁寧にすくい上げていきました。
回答の中には、多くの人が共感するような定番のシーンもあれば、まだ広く認知されていないけれど「これは確かにある」と感じさせるユニークな声もありました。SEAMでは、後者のような少数意見にも価値を見出し、プロダクトの可能性として積極的に採用してきました。
このように、“数が多い=正解”ではなく、たったひとつのリアルな声に耳を傾けることで、「その人のための一杯」が、やがて多くの人の心にも届く特別な商品へと昇華していく。それが、私たちが大切にする「シーンペアリング」の開発哲学です。
シーンペアリングの設計プロセス
シーンペアリングの設計プロセスは、消費者が味わうシーンを深く理解し、それに合った体験を提供することを目的としています。大きく分けると、次の3ステップです。
- シーンの深掘りと設定
- 飲む場所や時間、誰と一緒かなど、詳細なシーンを徹底的に掘り下げる。
- シーンに最適な味・フレーバーの開発
- シーンで感じる感情や雰囲気を味わいに反映し、特別な体験を作る。
- 情緒価値を引き出すパッケージとコンテンツ設計
- 視覚的デザインや小説・エッセイの活用などで、飲む前後の体験価値を高める。
① シーンの深掘りと設定
シーン設計は、お酒の体験を情緒的に高める重要なポイントです。感情を引き出す第一歩として、シーンを深く掘り下げ、具体的に設定します。
例えば、20~30代の女性を対象としたアンケートで「お酒を片手に過ごしたい、ときめきの瞬間」を募集すると、次のようなインサイトが得られる場合があります。
- 好きな映画を観ながらリラックスしたい夜
- 海辺のリゾートでのんびり過ごす午後
- 夜風を浴びながらベランダで語り合う時間
このように、シーンごとの情緒的価値を把握したうえで、それに合わせたお酒の設計を行うのが基本です。また、インフルエンサーやZ世代を集めたワークショップを実施し、5W1H(When/Where/Who/What/How)を用いて具体的なイメージを引き出すことで、漠然とした飲酒シーンから「心を動かす具体的な瞬間」へと落とし込むことができます。
② シーンに最適な味・フレーバーの開発
シーンに最適な味・フレーバーを開発する際は、まずシーンそのものがもつ感情を味に落とし込むことが重要です。
- 夏のルーフトップバーで夜景を見ながら…
- トロピカルな華やかさ×夏らしい爽快感
- ハイビスカスティーやパッションフルーツなどの素材を組み合わせる
- 夜にゆったり楽しむシーン…
- 低アルコールでリラックス感を演出
数十種類もの素材の組み合わせを検証して、五感で楽しめるバランスを探り、シーンのイメージを的確に表現していきます。アルコール度数の調整も含め、「このシーンにはこれがベスト!」というレシピを追求するわけです。
③ 情緒価値を引き出すパッケージとコンテンツ設計
飲む前後の体験を意識したデザインも、シーンペアリングにおいては欠かせません。パッケージデザインでシーンを想起させる要素を盛り込み、「飲む前からワクワク感を演出」できるように工夫します。
また、各商品のテーマに合ったコンテンツ制作を行い、飲用体験への没入感をさらに高める方法も有効です。たとえば、koyoiの「Passion night view」には短編小説が付属しており、それを読むことでシーンの空気感や登場人物の感情に共感し、より深い体験としてお酒を味わえるようになっています。さらに、飲用後に「あのときの一杯があったから特別だった」と思い出せるような情緒価値を醸成するのもシーンペアリングの大きな魅力です。
シーンペアリング事例
「Passion night view」:真夏のルーフトップバーで味わうトロピカルな一杯
都会の夜景を一望できるルーフトップバーで、真夏の熱気が少しだけ残る夜。心地よい夜風とともに親しい友人や恋人と過ごす特別なひとときを、トロピカルな一杯で彩るのが「Passion night view」です。

- 味の特徴
- ハイビスカスティーを基調に、清涼感のあるスパークリング仕様
- パッションフルーツの香りでエキゾチックな甘酸っぱさをプラス
- デザイン・コンテンツ
- 夜景をイメージした深いブルーのデザインとゴールドのアクセント
- 「真夏の夜、ルーフトップで過ごす特別な時間」をテーマにした短編小説が付属
一口飲んだ瞬間に広がるトロピカルな華やかさは、開放感と夏の高揚感をさらに引き立てます。飲み終えた後にも、「あのときの夜景や会話を思い出す」という情緒的価値が残るのです。
「Herbal detox」:心を整えるハーバルな癒しカクテル
一日の終わりに静かに自分と向き合い、心と体をほぐす夜。そんなシーンにぴったりなのが「Herbal detox」です。

- 味の特徴
- ラベンダー香るハーバルなジンをベースに、レモンの酸味で優しい飲み心地を実現
- 低アルコールで、深酒にならずリラックスできる
- デザイン・コンテンツ
- 落ち着いたグリーンやラベンダーカラーを基調としたミニマルなパッケージ
- 「自分と向き合う夜」をテーマにしたエッセイが付属
ハーブティーのような温かみと爽やかさが同居し、「深呼吸したような心地よさ」をもたらします。飲んだあとに「今日も頑張った自分を少し褒めたい」と思えるような自己肯定感を生み出す、癒しのカクテルです。
シーンペアリングで広がる飲酒体験の可能性
シーンペアリングを中心に考えると、お酒の選び方が大きく変わります。味やアルコール度数、料理との相性だけでなく、「どんな場面で、どんな気分で飲みたいか」に合わせてお酒を選ぶ考え方が広がるのです。
例えば、
- 一日の終わりに癒しを求めるなら「ハーバルなクラフトカクテル」
- 友人とのパーティーで盛り上がりたいなら「トロピカル&スパークリング」
- 日常の中でも特別感を味わいたい時に、低アルコールでフレーバーにこだわった一杯
こうした提案を通じて、「お酒=嗜好品」という枠を超え、「お酒=感情や体験を紡ぐメディア」として捉える文化が生まれます。実際、シーンペアリングによって日常の中で非日常を演出する楽しみ方が定着すれば、飲むこと自体ではなく、「体験そのものをいかに楽しむか」が重視される新たな時代を切り開くことができるでしょう。
まとめ:シーンペアリングで創る新しい飲酒体験の価値
本記事では、SEAMが提唱する独自の飲料開発手法「シーンペアリング」について、その定義や重要性、具体的な設計プロセス、代表的な事例、そしてシーンペアリングがもたらす飲酒体験の可能性について解説しました。
シーンペアリングは、お酒を単なる商品ではなく「いつ・どこで・誰と・何をしているか」というシーンを起点にした体験型の飲用提案へと昇華させるアプローチです。 従来の味覚重視の設計に留まらず、「飲む瞬間そのものの価値」を作り出すことで、消費者の心に深く刻まれる商品を開発できます。
- 日常の時間を特別に変える
- ライフスタイルや気分に合わせた飲用体験
- 飲用後まで続く記憶に残る情緒的価値
具体的な事例を通じて、単なる嗜好品を超えた「自分だけの物語を作る一杯」を提供するシーンペアリングの魅力をお伝えしました。新しい飲酒文化を創造し、日常の中でも特別な瞬間を感じられる提案が可能になるでしょう。
- お酒を「シーン」で選ぶという新たな視点
- 低アルコール飲料による日常的な楽しみ方
- 消費者と共創する体験型の飲用文化
シーンペアリングは、味やパッケージデザインを超えて「どんな気持ちで飲んでもらいたいのか」を商品企画の起点にする手法です。 価格競争に陥らず、情緒的価値を重視する消費者ニーズに応えるうえでも、今後ますます注目されるでしょう。
「情緒的価値を生む商品を作りたい」「消費者インサイトを深掘りした体験型商品企画に挑戦したい」とお考えの方は、シーンペアリングという視点を取り入れて、消費者の心に残るプロダクトを目指してみてはいかがでしょうか。
株式会社SEAMでは、自社の20〜30代向け低アルコールカクテル商品開発で培った実践的なノウハウをもとに、飲料商品の情緒的価値設計支援サービスを提供しています。
また、コンセプト設計から開発・クリエイティブ・プロモーションまで一貫して伴走することも可能です。
- 情緒的価値を生む商品を作りたいが、どこから手をつければいいかわからない
- ターゲットのインサイトを深掘りし、シーンに最適化された商品を開発したい
- シーン設計から味の開発、パッケージ・プロモーションまで一貫サポートしてほしい
上記のようなお悩みをお持ちの飲料商品企画担当者様は、ぜひお気軽にご相談ください。