Z世代が夢中になる“カスタマイズ消費”とは? 自分だけの“最愛”をつくる体験を提供する飲料企画のヒント

「若者の間で“モノ”の存在意義が変わってきている──」。そう聞くと、なんだか小難しい話に思えるかもしれませんが、SNSを眺めてみると、たくさんの方が“自分好みにアレンジしたもの”を楽しんでいる姿が目立ちます。例えば、骨格診断やパーソナルカラー、MBTIなどで自分を徹底的に分析したうえで「これこそ私に合っている」「こういう風に仕上げればもっと好きになれる」と、まるで“自分専用のオーダーメイド”を作るかのような消費スタイルです。

この動きは“パーソナライズ消費”から一歩進んだ“カスタマイズ消費”として注目されています。単に企業側が「あなたに合いますよ」と提案した商品を買うだけでなく、消費者自身が自由に既製品をアレンジし、時には装飾まで施して“世界にたった一つだけ”のアイテムに仕上げるのです。

このような消費トレンドの変化はZ世代のどのような価値観を反映しているのでしょうか?

この記事では、このカスタマイズ消費の本質と、それを飲料商品企画にどう落とし込めるかを探っていきます。


目次

カスタマイズ消費とは何か

「カスタマイズ消費」は、従来の「パーソナライズ消費」と似て非なるところがあります。

パーソナライズ消費
 →企業側がユーザーの希望やデータをもとに、あらかじめ最適化された製品を提案するスタイル


  →「ユーザー自身が自由に既製品をアレンジできる」スタイル

双方ともに、それぞれの消費者に対して最適化した商品を提供する点については共通しています。

異なるのはそのプロセスです。パーソナライズ消費では消費者の希望に基づいた商品を企業側が作り出して提供する一方、カスタマイズ消費はユーザー自身が自由に既製品をアレンジできる点に特徴があります。

SNSの普及によって個性の発信が日常化している今、Z世代をはじめとする若い世代は“自分が手を加えたプロセス”そのものを楽しみたいと考えています。

カスタマイズ消費の具体例と広がり

1. 香りを選ぶだけじゃない──「COLORIA」の“あと一歩”の楽しみ

サブスク型の香水サービス「COLORIA」では、1,000種類以上の香りの中から毎月好きなものを選べます。
これは企業側がユーザーに合わせて提案するパーソナライズに近いスタイルですが、ユーザーがそこに“自分なりの使い方”を見いだしてSNSに投稿することで、より自由なカスタマイズが可能になります。

たとえば「今月はMBTI診断で得た性格タイプに合わせた香りをチョイスした」「Tシャツを染めるときに香りづけをしてみた」など、まさに“人と同じアイテムでも自分が使うとこうなる”という楽しみ方です。

2. デジカメやバッグを“デコる”カルチャー

Z世代の中では、わざわざ中古のガラケーやフィルムカメラを探し出し、ステッカーやビーズで装飾して使うことも流行しています。

「最新機種が一番便利」という価値観から離れ、ちょっとレトロなアイテムに自分らしく手を加えることで“唯一無二の世界観”を創り出しています。
この延長線上にあるのが、飲み物のカップをマイデザインで持ち歩く、ボトルをペイントしてカバンにぶら下げる──といったカスタマイズの可能性です。

3. 2024年のZ世代グルメトレンドも「カスタマイズ」

10代~20代女性向けトレンドメディア『Trepo(トレポ)』が10代~20代の女性を対象に行った「2024年下半期のZ世代トレンド調査」において、グルメ部門のトレンドとして「麻辣担」「ヨーグルト&アサイー」「ポン・デ・リングアレンジ」が挙げられました。

出典:トレンドお届けメディアTrepo(トレポ)が選ぶ「2024年下半期Z世代トレンドランキング」

麻辣担やアサイー、焼きポン・デ・リングといったトレンドグルメは全て、消費者がカスタマイズして楽しむ要素が含まれています。Z世代は香水やデジカメ、カバンなどのファッション要素のみならず、グルメに対しても自分自身でカスタマイズする体験を求めていると言えます。

なぜカスタマイズ消費は流行しているのか?――Z世代の心理に根ざした“合理性”と“自分らしさ”の融合

「選べるって楽しい」「自分で決めたい」「世界に一つだけのモノが欲しい」――こうした声が、カスタマイズ消費の人気を象徴しています。
最近では飲料やコスメ、スニーカー、スマホケースに至るまで、さまざまなジャンルで“自分仕様”に仕上げられる商品が人気を博しています。

では、なぜここまでカスタマイズ消費が支持されているのでしょうか?
その背景には、Z世代を中心とした新しい価値観の広がりがあります。特に注目したいのは、「失敗したくない」という合理的な選択志向と、「唯一無二の自分を表現したい」という自己実現欲求が同時に存在している点です。

1. 失敗を避けたいから「自分に合う」ものを作りたい

情報過多な時代が生む“選択疲れ”と、Z世代のリスク回避志向

現代は、あらゆるモノやサービスがネットで比較でき、ECやSNSにはレビューやおすすめ情報があふれています。
一見便利そうですが、情報が多すぎることがかえって「何を選べばいいか分からない」「選んだ結果に後悔したくない」というプレッシャーを生んでいます。

Z世代はこの“選択疲れ”を敏感に感じており、口コミや評価をしっかり調べてから購入する傾向が強い世代。
だからこそ、「自分にとって最適な組み合わせを自分で作れる」というカスタマイズ型の商品は、合理的で安心感があると感じられるのです。
選択肢を「絞る」のではなく「最適化する」という意味で、カスタマイズは、まさにZ世代が好む「最適解」の提供手段といえるでしょう。

2. “世界に一つだけの自分”を表現したい

「私らしさ」を可視化するためのカスタマイズ

もうひとつの大きな要因は、「個性」や「自分らしさ」への強い関心です。
Z世代は、SNSのプロフィールやフィードを通して「自分をどう見せたいか」を常に意識しています。
単に良いモノを持つことよりも、「それが自分らしいかどうか」が購買の判断基準になっているのです。

だからこそ、同じ商品でも色や形、組み合わせを自由にカスタムできるサービスは、まさに彼らの“自己表現ツール”。
誰ともかぶらない、自分だけの組み合わせをSNSでシェアすることで、「これが私らしさだよ」と伝える手段になっているのです。

しかも、カスタマイズ商品には“ストーリー”があります。
「この香りはリラックスしたい夜用に選んだ」「このタグは彼との記念日に追加した」など、モノを通して自分のライフスタイルや価値観を語れる点もZ世代には刺さるポイントです。

カスタマイズ消費は「合理性 × 感情」を満たす、新しいスタンダード

Z世代はよく“合理的でドライ”と語られますが、実際には「共感」や「自分らしさ」など感情的価値も同時に重視しています。
カスタマイズ消費は、この両軸をバランスよく満たす数少ない消費スタイル。だからこそ、今の時代にフィットしているのです。

今後、AIやパーソナライズ技術が進化すれば、カスタマイズの幅はさらに広がるでしょう。
それは単なる“選べる消費”ではなく、「あなたの価値観に寄り添う消費」へと進化していくはずです。


飲料商品企画にどう活かすか

ここからは、こうしたZ世代のカスタマイズ消費の本質を、飲料商品企画に落とし込むための視点をいくつかご紹介します。ポイントは“ユーザーにとっての失敗しない選択肢を提示しつつ、自由にいじれる余地を残す”こと。プロセス設計やSNSでの共有施策など、少し踏み込んだアプローチが求められます。

「最適解」を一緒につくるプロセス

飲料の味わいやデザインを、自分自身で組み立てられるプロセスを用意することで、ユーザーは「私の好みにベストなレシピが完成した」と安心できます。たとえばオンライン上でのパーソナライズ機能によるリコメンドや、で診断カルテを作成し、好みや健康状態に合わせておすすめのフレーバーや栄養素を提案する仕組みがあると「私専用」を実感しやすいです。私たちの手がけるkoyoiも、質問に答えると回答者にあった種類をレコメンドするパーソナライズ機能を兼ね備えています。

あえて“仕上げ”を残したサービスデザイン

基本の飲料は高い完成度に仕上げつつ、ユーザー自身がトッピングやカップのデコレーション、味の微調整を行えるようにする──この「あと少しの余白」を与えると、消費者は自由度の高さにワクワクします。
焼きポンデリングや麻辣担などの流行グルメがそうであるように、“自分でアレンジして完成させる”行為にこそ大きな魅力があるのです。味や見た目をアレンジするだけでなく、カップやボトルをカスタムできる仕掛けも楽しいはずです。

カスタマイズの共有を促す施策

せっかく作り上げた自分だけのカスタマイズドリンクは、やはり誰かに見せたくなるもの。
そこでSNSでの投稿を促す仕組みがあると、ユーザーは積極的に発信します。
インフルエンサーを巻き込んで「私のオリジナルレシピ」を紹介してもらう、ユーザー同士が参考にし合えるコミュニティを設けるなど、双方向で盛り上がれる仕掛けを用意するとよいでしょう。

選ぶ理由やストーリーを見える化する

Z世代は「なぜその選択をしたのか」というプロセスや思考回路にも大きな関心を持っています。
たとえば「今日はリフレッシュしたいからミントフレーバー」「骨格診断◯◯タイプだからこの味が合うかも」といった“背景情報”を記録したり、SNSで簡単に共有できたりすれば、仲間内でのコミュニケーションも自然と盛り上がります。「自分自身が選んだ理由」をストーリー化できると、その飲料がより特別な存在に変わるのです。


まとめ:ユーザーの自己理解・自己表現を支える商品企画へ

「カスタマイズ消費」の台頭は、Z世代の“自分が選ぶ過程そのものを大切にする”という心理を象徴しています。失敗を回避したい合理性と、一点物を生み出して世界に示したい自己実現欲求が同居しているからこそ、このトレンドはますます加速していきます。

飲料の企画においては、単なるフレーバーの追加だけで終わらせるのではなく、「自分だけの最適解」を探す楽しさや「世界に一つだけ」を創造する喜びを、企画段階から組み込むことが重要です。個性に寄り添うアイデアやSNSで広がる仕組みを取り入れることで、長く愛される商品を育てられるはずです。

SEAMでは、お客様が個別にカスタマイズできるドリンク作りや、パーソナライズに応じた販促方法を実施してまいりました。ドリンクの開発の際に、この考えを取り入れたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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