なぜお酒でもソフドリでもなくノンアルを飲むのか?アンケート調査からノンアル・低アルを選ぶ4タイプのリアルな動機を解剖するクラスター分析

「飲めない人のための代替品」——そんなノンアルのイメージは、もう古いのかもしれません。
今、ノンアルや低アルを手に取る人たちは、それぞれ異なる理由と価値観を持って、その選択をしています。
株式会社SEAMでは、低アルコールカクテルブランド「koyoi」のユーザーコミュニティを活かし、ノンアル・低アルの飲み手たちの“リアルな動機”を明らかにするための調査を実施しました。
その結果見えてきたのは、「飲まない理由」は一つじゃないということ。そして、そこには4つのタイプに分けられる、意外と多様なノンアルの世界がありました。
商品開発やプロモーションを考えるうえで、見落とされがちな“選ばれる理由”。
この記事では、そんなノンアル・低アルを選ぶ人たちの「本当の理由」に迫ります。
調査概要と分析方法
私たちは、「なぜノンアルコールや低アルコール飲料を選ぶのか?」という問いに着目し、以下4つのクラスターを軸として分析を行いました。
- 健康・美容重視層:健康や美容への悪影響を防ぎたい人たち
(例:カロリーや糖質、肌荒れ・むくみなどを気にして、通常のアルコールを控える)
- パフォーマンスキーパー層:生産性・パフォーマンス低下を防ぎたい人たち
(例:仕事や勉強に集中したい、翌日に影響を残したくない)
- ほろよい体質層:体質的にアルコールに弱い・酔いやすい人たち
(例:少し飲むだけで顔が赤くなる、具合が悪くなるため、飲める量が限られる)
- 「今日は飲めない」層:基本的にアルコールを飲むが飲んではいけない事情がある人たち
(例:運転、妊娠・授乳、服薬、宗教など。ただし実際の回答では「運転」がほとんど)
アンケートでは、これら4つの“理由”をもとに、下記のような質問を複数用意。飲料選択の動機や、味・コスパ・デザイン・ブランドの世界観、飲み会の場への参加意欲、仕事や健康管理との関連性などを尋ねました。
その結果、回答のパターンから5つのクラスターに分けられるだけでなく、それぞれのクラスター内部で共通する嗜好や価値観が見えてきました。以下では、クラスターごとに特徴を紹介します。
4つのクラスターを発表! 一番多いのは「パフォーマンスキーパー層」
今回の調査では、事前に「あなたがノンアル/低アルを選ぶ主な理由」によって5つのクラスターを設定。その上で、各質問項目(味・コスパ・ブランド・食事との相性・飲み会への意識など)に対する回答傾向を分析しました。
各クラスターの割合はほぼ均等ではなく、次のような割合で分布していることが分かりました。
- 健康・美容重視層:27%
- パフォーマンスキーパー層:37%
- ほろよい体質層:12%
- 「今日は飲めない」層:21%
- その他:2%
では、それぞれの層の特徴を見ていきましょう!
1. 健康・美容重視層

「お酒の場は楽しみたいが、健康・美容にはもっと気を使いたい。ストイックになりすぎず、上手に調整したい」
コスパより品質志向の傾向が多くみられた。これは「せっかく体にいれるのであればいいものを食べたい・飲みたい」という価値観の表れか? 一方で「値段」についてはあまり高すぎると敬遠するケースも一定数。
オーガニック・自然派・無添加など、「健康によさそう」に敏感なタイプ。
健康管理と仕事の両立を考えていて、日々の食事や運動、睡眠をしっかりと意識している。
「ヘルシーなおつまみ」や「カロリー控えめのノンアル」であれば歓迎という姿勢の人が多め。
こうした特徴から、「健康や美容に配慮しつつ、でも飲み会の雰囲気は楽しみたい」という人たちだと考えられます。まさに「日常的な健康管理をキープしながら、アルコールとの程よい付き合い方を模索している」層とも言えそうです。
2. パフォーマンスキーパー層

「翌日の仕事・家事・学校・遊びに影響させたくない。リラックスはしたいけど、パフォーマンスは最優先」
酔いすぎずほっとできるドリンクとしてノンアルを選んでいる様子。
忙しい日常を過ごしているからこそ、世界観がおしゃれな贅沢ドリンクを飲みたくなる人が多い可能性あり
完全に禁酒するのではなく、翌日に大事な予定があればノンアルに切り替えるなど、ある程度ざっくりとしたルールの中で臨機応変に対応する人が多い。
健康管理も「生産性アップ」の文脈で行うことが多い。
61.11%が「とても好き」と回答。仕事関係やネットワーキングとして、飲み会が重要と感じている可能性も。
この層の人たちは、「明日のパフォーマンスを下げたくないからこそ、ノンアルを選ぶ」という意識が強いようです。高いブランド性やこだわりを感じられるノンアル・低アル商品に惹かれ、忙しい日常の“ご褒美ドリンク”としても活用していることがうかがえます。
3. ほろよい体質層

「飲み会は好き。だけど少しでも飲むと具合が悪くなる…。ならノンアルで楽しもう!」
みんなが乾杯するタイミングに自分だけソフトドリンクだと浮きがちだが、ノンアルであれば“同じように”楽しめる。ソフトドリンク感覚でノンアルを選んでいる人も多い。特に「飲む理由は特にないけどおいしいから飲む(だけど普通のジュースより雰囲気が出るかも?)」といった回答が一定数。
クラフト感やおしゃれさも悪くはないが、とにかく「美味しく、酔わずに済む」ことを大事にしている。
回答者の一人は「本当においしく飲めるノンアルが少ないからこそ、おいしさにはこだわる」と回答
酔えなくても雰囲気を楽しみたいタイプが多い。
このように、「体質的にはアルコールを受け付けないが、飲み会は楽しみたい」という思いが強いのが特徴です。マーケティング的には「ノンアル=飲めない人のための普通の飲み物」でありつつ、さらに「美味しさ・満足感・楽しさ」を高めた商品開発が求められると言えます。
4. 「今日は事情で飲めない」層

「今日は飲めないけど、飲み会の雰囲気が大好き! 人と話す時間を楽しみたい」
外せない理由があり、実質的にアルコールを飲めないので、ノンアルを自然に選ぶ人が多い。
アルコールがNGでも“お酒っぽい気分”を味わいたいという声が多い。
60%が「メリハリを意識しない」と回答。自発的にノンアル・低アルを選んでいるのではなく、運転などの理由で選んでいるため、意識的にメリハリをつける人は少なかった
この層は、「アルコールを飲めない/飲まない」こと自体を、あまりデメリットと感じていない場合が多いのが特徴。反対に「飲めないけどノンアルでおしゃれな体験をしたい」「みんなとの時間を存分に楽しみたい」という意識が強く、ノンアル製品そのものに“特別な楽しさ”を期待しているようです。
横断して見えた共通傾向
今回の調査では、上記の4クラスターに分かれつつも、いくつかの“横断的な特徴”が浮かび上がりました。
ノンアル・低アルを飲む人の共通傾向はなんなのでしょうか?
- 健康や仕事(パフォーマンス)との両立を考える層が多数
特に「健康や美容への悪影響を防ぎたい層」「生産性・パフォーマンス重視層」は、生活習慣や仕事への影響を強く意識してノンアルを活用している。 - 「飲めない理由」は多岐にわたるが、ノンアル選択への満足度は高め
アルコール弱者や飲んではいけない事情がある人でも、ノンアル飲料を「普通に美味しい飲み物」として受け入れている例が増えている。
今回の調査から得られたノンアル・低アル商品企画のヒント
ノンアルや低アルを飲む理由は、人によってまったく異なります。
「健康を意識して」「仕事に影響を残したくなくて」「酔えない体質で」「今日は運転だから」。
どれも“なんとなく”ノンアルを選んでいるのではなく、それぞれの暮らしの中に理由があり、その人なりの価値観がありました。
だからこそ、ノンアル・低アルを「ひとくくりに語る」のではなく、飲み手の背景を深く理解していくことが大切だと、改めて感じさせられます。
今回の調査から得られたヒントを、いくつかの観点でご紹介します。
1. 「健康」「仕事」「TPO」など、“ノンアルを選ぶ理由”は複数ある
しかも、それぞれに異なるニーズがあります。
たとえば健康・美容を重視する層は「品質の良さ」や「オーガニック」「添加物の少なさ」など、“体にいいかどうか”が判断基準になりやすい。一方で、パフォーマンスを優先する層は「リラックスできるか」「翌日に響かないか」といった目的にかなっているかを重視する傾向があります。
また、酔いやすい体質の人や、今日は事情があって飲めないという人たちは、「お酒っぽさ」や「飲み会への馴染みやすさ」も大事にしていて、“自分だけ浮かない安心感”を求めていることが分かりました。
商品開発を行う上では、こうした「理由別の価値観の違い」を捉えることが欠かせません。
2. 「飲み会が好きだからこそノンアルを選ぶ」人が、思っている以上に多い
今回の調査では、どの層にも共通して「飲み会自体は好き」という回答が少なくありませんでした。
飲めないから参加しないのではなく、「飲みたいけど飲めないからノンアルを選ぶ」「酔いたくないけど、楽しい時間は過ごしたい」といった声が多く見られました。
つまり、ノンアル飲料は“飲めない人のための代替品”ではなく、“飲みたい気持ち”に応える選択肢になっているということ。
飲み会を諦めたくない、だからこそ「ノンアルでも気分が上がる」「みんなと一緒に楽しめる」商品が必要とされているのです。
3. 「誰に向けた商品か?」をもっと解像度高く描く必要がある
今回のようなクラスター分析をしてみると、つい「こういう人たちが多いから、そこを狙おう」と考えたくなります。でも実は、どのクラスターにも共通していたのは、「それぞれの事情や背景がある」ということでした。
つまり、「ノンアルを選ぶ人」の輪郭は思っている以上に多様で、なんとなく“飲まない人たち”でまとめてしまうと、本質に届かないことがあるということ。
「誰の、どんな一日の、どんな時間に届けたいか」
この視点を持ち続けながら、ペルソナを細かく描き、シーンを想像し、言葉を選び、味やデザインを決めていくことが、これからのノンアル開発にとって必要不可欠です。
SEAMのコミュニティを活用しながら、もっとリアルな開発を
SEAMでは、ノンアル・低アルを愛飲する若いユーザーが集まるコミュニティを持っています。
今回のような定量調査だけでは見えにくい、「N=1」のリアルな声も、日々たくさん届いています。
「飲めないのに飲み会が好きって、ちょっと矛盾してる気がしてたけど、これを読んで納得できた」
「デザインが好きで買ってみたけど、思ったよりちゃんとお酒っぽくてびっくりした」
「正直、“飲まない人向け”って言われると買いたくなくなる」
そんな声に耳を傾けながら、ユーザーとの共創で商品をつくる。それが、私たちSEAMが大切にしているアプローチです。
ノンアル・低アル市場はますます広がっています。
でも、その可能性を最大限に広げていくには、「ただ飲まない人が増えている」という認識では足りません。
「飲まない理由の多様性」に目を向けること。そして、“その人の1日に寄り添う飲み物”をつくること。
それが、これからのノンアル開発に求められる視点ではないでしょうか。
ご興味をお持ちの企業様は、SEAMの「共創型商品開発支援」サービスをご検討ください。
わたしたちのコミュニティと一緒に、「誰かの毎日をちょっと楽しくするノンアル」を届けていきませんか?
〈本調査について〉
- 調査対象:ノンアルコール・低アルコール飲料を週1回以上飲む人
- 調査方法:オンラインアンケート・インタビュー
- 分析方法:5つの「主な理由(クラスター)」を軸に、味・コスパ・ブランド・食事との相性・飲み会への参加意欲・健康管理意識など数十項目をクロス集計し、行動・意識傾向を抽出
- サンプル数:51名